2016年2月11日木曜日

モロッコの食卓 塀の中の宝石のようなレストラン

2013年の秋にモロッコに出張した。カサブランカからマラケシュまで車で移動した。旧仏領だったこの国の料理の洗練と美味しさには感動した。旅先でいくつも新しい言葉を覚えた。モロッコには毎日お祭りみたいな場所があると聞いていたが、これは「スーク」のことだ。市場を意味する言葉で、広くお店や広場のある場所を示す。

子供の頃に「ここは地の果てアルジェリア、どうせカスバの夜に咲く」という歌を聞いたことがある。マラケシュにも「カスバ」と呼ばれる迷路みたいなところがあった。「カスバ」というのは要塞とか砦を示す。細い石畳の道が迷路のようになっていて敵の侵入時に備えている。山城のあった新潟県の栃尾の町並みにも同じようは工夫が見られる。

マラケシュの街の中心部に近ずいた時に大きなピンク系の城壁が目についた。この大きな壁の中の地域を「メディナ」と呼ぶ。ウズベキスタンの世界遺産の町ヒヴァを思い出した。昔から中国でもイスラム世界でも街というのは「城市」として土塀とか石垣に守られていた。ジンギスカンやらアムール・チムールやら十字軍やらが攻めて来るかも知れない物騒な時代の名残だ。

ピンクの土塀に囲まれた小路の木戸を開けると中にレストランがあった。Les Jardins de La Medinaというレストラン兼ホテルでの夕食は素晴らしかった。内部の美しい庭園を「リヤド」と呼ぶ。これはウズベキスタンの家の造り方によく似ている。侵略者とか泥棒だけではなくて、権力者に目をつけられても物騒だから、外側はできるだけ目立たなくする。その反動もあってか内部の装飾や庭がすばらしい。

「マグレブ」という言葉はモロッコなど北西アフリカ地方を示す。この辺りに住むモスレムの人々が「ベルベル人」や「ムーア人」。ベルベル人というのはその言葉どおりキリスト教世界から見てのよそ者を示す。「ムーア人」と言えば妻に対する猜疑の物語としてシェークスピアの「オセロ」が有名だ。文武に秀でて出世したオセロ将軍の心の孤独と葛藤を描いている。大西洋とアトラス山脈に囲まれたモロッコはハイビスカスやクレマチスの花々がとてもきれいだった。いつかゆっくり再訪してみたい国だ。











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