2016年2月11日木曜日

ウィーンの食卓 ホイリゲとシュトルム

1991年から2年間ウィーンにあるUNIDOという国際連合の専門機関で働いた。初めての海外の仕事で慣れないことは多かったし、当時のこの国はEUに加盟する前で閉鎖的だったことなどいろいろある。必ずしも良いことばかりではなかったはずなのに、ウィーンの森、いくつもの美術館、国立オペラ、コンサート、冬の舞踏会、ドナウ川下りなど楽しかったことばかりが思い出される。記憶の彼方の奇跡のような街だ。

この国の白ワインはすばらしい。ウィーンから地下鉄で30分くらいのところにグリンツィングという村がある。ホイリゲと呼ばれる居酒屋が軒を並べている。ハムや魚の揚げ物やサラダをつまみながらワインを飲む。新酒の出る秋が最高だが、一年中楽しめる。

8月の終わりくらいから2-3週間だけ「シュトルム(嵐)」と呼ばれる発酵中の白ワインが飲める。音楽もある。アコーディオンとバイオリンのおじさんたちがリクエストに応えていろいろな曲を弾いてくれる。ワイン好きにとっては天国みたいな村だ。開高健も「地球はグラスのふちを回る」の中で「ウィーンの森の居酒屋村」というエッセイを書いている。




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