2016年2月11日木曜日

EBRDビシュケク事務所の仕事

EBRDは市場経済への移行支援を専門とする国際機関としてキルギス共和国の経済発展を支援している。政府への支援を任務とするIMF、世銀、アジア開銀、主要国の開発支援の諸機関と比べると直接に民間部門の銀行、地場産業、外国投資を支援するのがEBRDの特徴だ。

キルギスには22の商業銀行があるが、民間融資総額の対GDP比率は20%程度であり、経済活動は現金取引に頼っている。この比率はより発展した移行経済国では50%を越え、先進各国では100%を越える。EBRDはキルギス投融資銀行(KICB)、トルコ系のデミール銀行など外資導入を支援するとともに、主要なマイクロ金融会社に対しても融資を行ってきた。マイクロ融資総額の対GDP比率は8%であり、民間の融資額全体の1/3を占める。中央アジア、コーカサス、バルカン半島などマイクロ金融の活発な地域には山間地が多く、通常の商業銀行の営業活動が難しい。

EBRDはイシク・クル湖のリゾート施設、ホテル(ハイアット)、鉱業(クムトー金山)などへの外資導入を支援し、2000年代の半ばからは小口向け直接融資制度(DLF)を通じて、食品加工・飲料水、板ガラス、家具工場など地元企業を支援してきた。世界金融危機後は中小企業支援を拡大するため、地元通貨建て融資を開始した。

EBRDは、経験豊富な専門家による中規模企業の構造改革、生産性向上、省エネ対策なども支援している。スイスの技術による地元産チーズが評判の「デイリ―・スプリング(乳製品の泉)」の経営改善・販路拡大にも貢献した。日本人アドバイザーもEGPに参加している。財務管理、品質管理、ビジネスプランの分野では地元のコンサルタントの育成・活用にも力を入れている。公共部門では、オシュ・イスファナを結ぶ南部幹線道路の整備(世銀、欧州連合との協調融資)、首都ビシュケク他主要都市の上下水道整備(スイス政府との協調融資)などを支援している。


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