2016年2月11日木曜日

ビシュケク事務所長として中央アジアに戻ってきた 2007年11月

2007年の11月に3年間のバルカン半島の国々マケドニア・コソボの勤務を離れ、中央アジアの国キルギスタンの首都ビシュケクに赴任した。暮らしやすかったスコピエの任期をまだ一年ほど残して、なぜ天山山脈の麓、山と湖の国のポジションに応募したかについて妻から厳しく問い詰められた。「ロシア語を勉強したいから」、「アジアが好きだから」等々あまり説得力がなかった。

赴任してひと月ほど経ち、事務所スタッフ、政府関係、取引先から予想以上の歓迎を受けてみて、このように自分のEBRDにおける仕事が強く期待されるという感激に飢えていたことが本当の理由だと感じた。これはバルカンのようにある程度発達を遂げてEU加盟候補となっている国々では想像し得ないものだった。

キルギスタンの最大の魅力は天山山脈の麓に広がるイシク・クル湖だ。この湖は三蔵法師大唐西域記にも大熱池、大清池などとして出てくる。作家の井上靖が中央アジアを旅した頃はまだソ連の軍事拠点であり、訪問が許されず残念だと紀行文に書いている。わたしにとっても1996年2月に送電線プロジェクトの出張で訪れて以来、心に残る風景となっている。タシケント勤務時代には夏にこの湖への旅行を計画していたところ、出発の2日前にさそりに足の小指を噛まれて諦めてしまった因縁の深いところである。

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