タシケントに住んでいた時にサソリに刺されたことがある。とても楽しみにしていた夏のイシク・クル湖行きの二日前の夜のことだ。小旅行に備えて寝室でパッキングをしていると足の先に激痛が走り、何が何だかわからず転げまわった。大声で叫びながらベッドで苦しんでいた。隣の部屋にいた妻が救急車を呼んでくれた。妻は救急隊員に昼間針仕事をしたので、その時に落ちた縫い針が刺さったのではないかと自説を述べていた。運ばれた先の地元の病院の医者は、レントゲン写真を撮った。「よくわからないが、針とかガラスは見えない。たぶん何かに刺された毒からの痛みではないか」との診断だった。もしもサソリだったら死んでしまうのか?血清はあるのかと心配する妻に、医者は素っ気無く、ウズベキスタンのサソリは痛くても死ぬことはないと落ち着いていた。痛み止めを打ってくれたが効かなかった。
ロシア語のやりとりが不安だし、医者もなんだか頼りないので、外人用のインターナショナル・クリニックまで運んでもらった。顔なじみのアメリカ人の先生が待機していてくれた。痛みは激しさを増し、痙攣がひどくなった。先生は生理的食塩水のパッケージをくれ、電子レンジで暖め、患部にあてるようにと言った。しばらくして麻酔の専門医がやってきた。足の小指の脇の神経のところをクモかサソリの類の毒が刺激しているのだろうと診断してくれ、刺された辺りに麻酔注射をしてくれた。奇跡のように痛みが消えた。疲れ果ててしばらく眠りについた。3時間くらいすると、またもや激痛で目が覚めた。痙攣が始まった。もう一度、麻酔注射をしてもらった。嘘のように痛みが止まった。その麻酔の専門医は朝方、夜勤明けだからと帰っていった。
また眠った。朝の9時頃、痛みがぶり返したので目が覚めた。もう痙攣するほどではなかった。家に帰った妻は、放心状態から気を取り直して、寝室の床に掃除機をかけ始めた。トルクメニスタンの赤いじゅうたんの上に、押し花のようにきれいにつぶされた、白く透き通った色のサソリがいた。記念にコピー用紙にのせて、写真を撮った。タシケントにはサソリがいるが、暑いのが嫌いで石垣とか、家の奥に隠れているそうだ。暗いところが好きなので靴の中にいたりするのを知らずに、踏んで刺されることがあるらしい。隣の家が解体工事中だったので、わが家に避難してきていたらしい。
ロンドン本部の安全担当のゴルフ友だちにこの話をした。しばらくしたら途上国訪問時に気をつけることという安全マニュアルの中の事故の事例として使われていた。サソリのおかげで武勇伝として広まった。
ロシア語のやりとりが不安だし、医者もなんだか頼りないので、外人用のインターナショナル・クリニックまで運んでもらった。顔なじみのアメリカ人の先生が待機していてくれた。痛みは激しさを増し、痙攣がひどくなった。先生は生理的食塩水のパッケージをくれ、電子レンジで暖め、患部にあてるようにと言った。しばらくして麻酔の専門医がやってきた。足の小指の脇の神経のところをクモかサソリの類の毒が刺激しているのだろうと診断してくれ、刺された辺りに麻酔注射をしてくれた。奇跡のように痛みが消えた。疲れ果ててしばらく眠りについた。3時間くらいすると、またもや激痛で目が覚めた。痙攣が始まった。もう一度、麻酔注射をしてもらった。嘘のように痛みが止まった。その麻酔の専門医は朝方、夜勤明けだからと帰っていった。
また眠った。朝の9時頃、痛みがぶり返したので目が覚めた。もう痙攣するほどではなかった。家に帰った妻は、放心状態から気を取り直して、寝室の床に掃除機をかけ始めた。トルクメニスタンの赤いじゅうたんの上に、押し花のようにきれいにつぶされた、白く透き通った色のサソリがいた。記念にコピー用紙にのせて、写真を撮った。タシケントにはサソリがいるが、暑いのが嫌いで石垣とか、家の奥に隠れているそうだ。暗いところが好きなので靴の中にいたりするのを知らずに、踏んで刺されることがあるらしい。隣の家が解体工事中だったので、わが家に避難してきていたらしい。
ロンドン本部の安全担当のゴルフ友だちにこの話をした。しばらくしたら途上国訪問時に気をつけることという安全マニュアルの中の事故の事例として使われていた。サソリのおかげで武勇伝として広まった。
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